小学校現場で奮闘している広島の教師が、目ざす子どもの姿の実現のために「いい授業をしたい」「楽しい学校生活を提供したい」と集って学び合っています。


ほめて育てる

カウンセリングの療法に触れる機会がありました。

アーロン・T・ベックによって開発された認知療法では、人間の認知の過程を3段階に捉えています。

その一段階である「中核信念」の自分を取り巻く世界の一定の概念について、次のような一例を示しています。

 

「幼い頃から『頭が悪い』と親から言われ続けた人は、『自分は頭が悪い』と思い込んで成長します。概念は、このように自分で気づかないうちに築かれていくのです。」

 

そう言えば、私が母になった時、母から言われた言葉「『いい子だ』『いい子だ』と言って、いいところをほめて育てなさい。」が、育児の糧であり続けました。

それは母もまた、祖母に言い聞かされた言葉で、我が家の子育ての教訓として語り継がれてきたものだったようです。

まるでカウンセリングの手法を、祖母の時代から(もっと昔からかもしれませんが)知っていたかのようだと思いました。

 

教育という仕事に携わってきて、「子どもはほめることで育つ」と一層確信するに至りました。

ほめられることによって、知らず知らずのうちに自分のよさを認識し、「これでいいのだ」という自信となり、それが人格形成の基盤になることを思えば、幼児期・児童期の子どもたちは、いい点をたくさん見つけられ、ほめられて育てられなければならないと思います。

相手を思いやる気持ちは、自分が認められることによって育まれるものだと思います。

叱責や説教ばかりで育てられる子どもは、言い訳をしたり嘘をついたりして自分を守ることで精一杯です。

大人の子どもへの接し方が彼らの将来を決めるという責任の重さを肝に銘じ、よさを見つけてほめることを心がけ、日々子どもたちに向き合いたいと思います。

 

カウンセリングの療法に、教育の方法を重ねて考えたひと時でした。